インデザイン(InDesign)でのPDF書き出し・チェック方法
Adobe InDesign(インデザイン)は、日本で最もよく使われている組版用ソフトウェアです。
本格的な文字組の機能が備わっており、カタログなど冊子の制作には欠かせないソフトとして、出版社やデザイン会社で広く使われています。
InDesignで作成したデータは、バージョンの違いやフォントの有無による不具合の発生を避けるため、印刷用のPDFを書き出して印刷会社に入稿することが一般的になってきています。
今回は、InDesignで冊子をお作りの方向けに、InDesignデータから印刷用のPDFに変換してデータを入稿する方法について紹介したいと思います。
InDesignの設定について
印刷所できちんと印刷ができるPDFデータを作るに際して、ぜひ知っておくべきInDesignの設定項目がいくつかあります。これらの設定項目のポイントをきちんと理解し、予め設定をしておくことでより汎用性の高い入稿データを作ることができます。
これから紹介するのは、
・ドキュメント設定
・カラーの設定
の2つです。
これらは入稿時における必須項目ですので、必ず理解をしておいてください。
ドキュメント設定
InDesignで制作する際は、まず新規でドキュメントを作成します。このドキュメントが「ページ」に該当します。
ドキュメント内には赤い罫線の枠があり、その中に白いシート(これは黒線で枠が描かれています)があります。この白いシートが実際の用紙に該当します。赤い罫線は、紙面の端まで色や絵柄・写真を入れる際に「この赤い罫線まで伸ばしてデザインを作ってほしい」ことを示す領域線です。
白いシートから赤い罫線までの余白分は「塗り足し(または「ドブ」「裁ち落とし」)と呼ばれます。この部分は3ミリ程度設けておくのがよいとされています。
※新規作成したInDesignドキュメントは、初期設定で裁ち落とし(塗り足し)は3ミリに設定されます。
紙面の端まで色や絵柄・写真を入れてレイアウトしたい場合には、赤い罫線まで色や写真を伸ばす必要があるということを覚えておいてください。
>>塗り足しの付け方と仕上がりサイズについて
>>絵柄作成時の注意事項
カラーの設定
モニター画面で見える色味(RGBカラー)と、印刷される際の色味(CMYKカラー)では、色の再現に違いが出ます。
実際に、InDesignのスウォッチやカラーパレットでRGBカラーでデザインを作り、これを印刷用のPDFに変換すると、色味がかなり異なってしまい、仕上がりイメージにまで影響してしまうことがよくあります。
この色再現の違いは「RGBカラー」から、「CMYKカラー」に変えて作業を行うことで、違いを最小限にすることができます。
もし、作成中のデータがRGBカラーだった場合は、カラー部分の文字やデザインをCMYKカラーで配色し直すことをおすすめします。
PDFの書き出し手順
当店では、InDesignから印刷用PDFを書き出す際は「PDF/X-4」というPDF形式での保存を推奨しています。
もうひとつ、よく使われる形式に「PDF/X-1a」がありますが、こちらは前バージョンの形式です。
「PDF/X-4」は、印刷用に準拠された最新の形式ですので、印刷用PDFを書き出す際は「PDF/X-4」で書き出すようにしましょう。
ここでは、PDF/X-4形式への書き出し手順について説明します。
プリセットの設定
PDF/X-4形式のPDFファイルを書き出す際は、「プリセット」を活用すると簡単です。
「プリセット」とはあらかじめ書き出し設定が登録されたファイルになり、プリセットを登録しておくだけで、毎回、細かい設定を行う必要がなく、データ入稿に最適なPDFが簡単に書き出せます。
入稿用PDFの書き出し
デフォルトで登録されているPDF/X-4形式用プリセット(PDF/X-4:2008)を編集する必要があります。詳しい手順は、下記URLよりプリントモールのサイト内で紹介しています。
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入稿前のチェックを忘れずに!
入稿データは、基本的にPDFの内容のまま印刷されます。
PDFデータを書き出したら、入稿前にファイルを開いて、内容が正しく書き出されているか確認をするようにしましょう。
PDFファイルの確認にはPDF閲覧用ソフトである「Adobe Acrobat Reader」や「Adobe Acrobat Pro(有料)」を使用します。
これらはAdobe社のサイトからダウンロードしてください。
>>Adobe Acrobat Reader/Adobe Acrobat Proのダウンロード
表示内容の確認
入稿前に書き出したPDFを開いて、内容が正しく書き出されているか、必ず確認をするようにしましょう。
まれに、文字やレイアウトが崩れていたり、埋め込んだ画像が表示されていないといった不備が発生している場合があります。
ページ数の確認
ページの番号がきちんと順番どおりになっているか確認しましょう。ファイルを分けていたページを合体させたりする際に、元のページ番号がそれぞれ残ってしまい、順番どおりになっていないことがあります。
ファイル名
入稿用PDFは、「hyoushi_●●●●.pdf」「P001_●●●●.pdf」のように、表紙・本文ページ数がわかるファイル名を付けましょう。
また、ファイル名は半角英数字で付けるようにしましょう(※ひらがなや漢字のファイル名は、Windows/Mac間で文字化けしてしまう可能性があります)。
サイズ・順番・向き
サイズ・順番・向きが希望通りに書き出されているか確認しましょう。
サイズ
PDFデータが仕上がり希望のサイズで正しく作成されているかご確認ください。
※塗り足しがある場合は、塗り足しを含めたサイズ、背幅がある場合は背幅を含めたサイズでのご入稿をお願いします。
ページの順番
ページをまとめて書き出している場合は、PDFを開いて上から正しいページ順になっているか確認してください。
向き
用紙の向きがきちんと揃っているかご確認ください。縦長のものと横長のものが混在していると印刷できない場合があります。
フォントの埋め込み
Acrobatの「メニュー」>「プロパティ」>「フォント」より、フォントが埋め込まれているかを確認することができます。
フォントの埋め込みがなされていない場合、印刷時に文字化けしたり、別のフォントに置き換わったりする可能性が高くなります。
詳しくは以下の記事にて説明しております。
>>フォントの埋め込みって何?メリットやPDFへの埋め込みを解説
アウトライン化について
どうしても埋め込めないフォントは、InDesignドキュメント上でアウトライン化(グラフィックス化)することで、文字を図形情報に変えて書き出すことができます。
- 「編集」>「すべてを選択」を選びます。
- 「書式」メニュー>「アウトラインを作成(※)」で、ドキュメント内のすべての文字がアウトライン化されます。
※ご使用のInDesignのバージョンによっては「グラフィックス化」と表示されます。
「すべてを選択」ができない場合は、どこかのレイヤーにロックがかかっています。その場合、レイヤーのロックを解除してください。
※文字がアウトライン化されると文字の修正ができなくなります。
アウトライン化する前に元のファイルを複製しておくことをおすすめします。
※アウトライン化した文章(※文字に効果を付けている場合) は体裁が変わってしまう可能性があります。必ずアウトライン化の前後で表示を確認してください。
注釈機能を使っていないか
Acrobatの「注釈機能」では、PDF上で赤字添削をしたり、矢印をつけたりすることができますが、これらの情報は、印刷には反映されません。入稿用PDFには、注釈機能を使わないでください。
セキュリティ設定
PDFに、パスワードなどのセキュリティ設定を行っている場合は、必ず解除してください。
印刷時に処理できない場合があります。
セキュリティ設定を確認したい場合は、Acrobat「メニュー」>「プロパティ」>「セキュリティ」で確認できます。
トンボ
「トンボ」は、台紙の外側の角(コーナー)と中央(センター)に付けられている線を2本重ねたマークのことを指します。
トンボは印刷の際に必要ですので、入稿用PDFにコーナートンボ・センタートンボが付いているか必ず確認してください。
(当店のプリセットを使用する際には、コーナートンボ・センタートンボは自動で書き出すように設定されます)
また、表紙に背表紙が入る場合は、背表紙を折る位置に折りトンボが必要になります。こちらも必ず確認をお願いします。
(折トンボがあらかじめ入った当店のInDesignテンプレートのご使用をおすすめします。
>>背表紙の入る冊子の表紙テンプレートをダウンロードする場合はこちら
まとめ
この記事では、InDesignで冊子を作るときの入稿時のポイントについて紹介しました。
ご理解いただけましたでしょうか。
InDesignでカタログや本を作りたい方には、印刷入稿用のPDF書き出し方法や、チェック項目は覚えておいて損はありません。
今回紹介したポイントを押さえて、素敵な冊子を作りましょう!
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