平綴じとは?中綴じ・無線綴じ冊子との違いと選び方
冊子には様々な製本方法がありますが、「簡単に作れそうな冊子」と聞くと、すぐにホッチキス留めの冊子が頭に浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんなホッチキス留めの中でもシンプルな「平綴じ」についてご紹介します。また、平綴じと並んでポピュラーな「中綴じ」や「無線綴じ」と、平綴じとの違いや特徴についても解説します。
冊子を作る際にはぜひ参考にしてみてください。
平綴じとは?
平綴じとは、紙の端(ノド)から5mm程度のところをホッチキス(針金)で1~3ヶ所程度留める製本方法です。ホッチキス留めとも呼ばれます。
製本方法、仕上がりともにシンプルで、手作りも容易なので、簡易的な冊子や配布物に使用されることが多いです。
ただし、構造上、綴じ側の紙端(ノド)ギリギリまでページを開くことはできません。見開きのデザインを重視する冊子には不向きです。針金で留めることがほとんどですが、まれに糸で留めたり、綴じた後、背の部分に糊をつけて表紙を貼り付ける場合もあります。
平綴じの対応ページ数
平綴じの対応ページ数は、最小8ページ~最大80ページ程度が一般的です。
ページを重ねて上から綴じるため、平綴じのページ数は「2の倍数」となります。
平綴じは、比較的ページ数が少ない冊子向けの製本方法です。ページ数が多すぎると、針金の長さが足りず綴じることができなかったり、無理に綴じても強度が弱くなってしまいます。
対応できる最大ページ数は印刷会社によって異なるので注文前に確認しておくとよいでしょう。100ページ以上の冊子の場合は、後で紹介する無線綴じを選ぶのがおすすめです。
平綴じでよく使われる冊子
平綴じがよく使われる冊子は、以下のようなものがあります。
・取り扱い説明書、マニュアル
・教科書、和本
・伝票、チケット
簡易的な冊子や配布物が多いほか、伝統的な和本、伝票など幅広く使用されている製本方法です。
平綴じのメリット
平綴じのメリットは、手軽さです。
・少ないページ数から綴じることができる
・価格がリーズナブルで、納期も短いことが多い
自作、印刷会社への発注のどちらも行いやすいので、初めて冊子を作る方にもおすすめです。
平綴じのデメリット
平綴じのデメリットは、見開きのレイアウトには向かないことです。
・綴じ位置までのノド側の範囲は綴じられると見えなくなる
ページをまたがる見開きの写真や図を避けたり、余白を多めにしたりと、データの作成時には絵や文字が切れてしまわないように注意しておく必要があります。
データ作成上の注意点
平綴じのデータを作成する際は、「ノド側の余白」に注意しましょう。
紙の端から針金部分までのノド側は、冊子に仕上がると隠れて見えなくなります。ノドから10mm~15mmの範囲には重要な絵や文字を入れないように注意が必要です。
逆に背景の模様や色に関しては、ノド側ギリギリまでレイアウトをしておいた方が良い場合もあります。
綴じ位置より内側(ノド側)ぎりぎりまでレイアウトしておくことで、印刷のズレが生じた場合にも、ページ内の絵柄が突然見切れてしまうことを防げます。
他の製本方法との違い
平綴じと並んでよく使われる2つの製本方法(綴じ方)と使い分けのポイントについてもご紹介します。
中綴じ
中綴じは、ページの見開いた中央部分を綴じる製本方法です。
平綴じと同じくホッチキス(針金)で留める製本方法ですが、冊子の折り位置にあたる見開き中央で綴じるため、平綴じとは違ってノド側いっぱいまでページを開くことができます。そのため、絵や写真などを見開きでレイアウトした冊子にも向いています。
中綴じは見開きを重ねて綴じるため、ページ数は「4の倍数」となります。少ないページ数から作成できるため、パンフレットや週刊誌、会社案内などによく使用されます。
一方で、平綴じ同様に針金の長さ分しか綴じられないため、100ページを超えるようなページ数の多い場合は、別の製本方法を選ぶ必要があります。
無線綴じ
無線綴じは、糸や針金を使わず、本の背と本文を糊で固めて、表紙をくるんで仕上げる製本方法です。
本文ページを重ねて糊付けするため、平綴じや中綴じとは違い、ページ数が数百ページになるような冊子にも対応でき、背表紙ができるのが特徴です。
無線綴じは、しっかりとした丈夫な作りで、高級感のある冊子に仕上がります。
ページ数は「表紙4ページ+本文は8の倍数(※)」となります。ページ数の多いカタログや教科書、記念誌、小説などによく使用されます。
※本文のページ数は4の倍数に対応できる印刷会社もあります。印刷機によって左右されるため事前に確認しておきましょう。
ただし、内側のページになるほど綴じ部分が平らに開きづらくなるため、見開きのレイアウトにはあまり向きません。
また、少ないページ数(数ページ〜20ページ程度)の場合は、背表紙を付けるのが難しくなるため、対応できない場合があります。
平綴じ・中綴じ・無線綴じ、どう使い分ける?
これまで紹介してきた特徴を踏まえて、3つの綴じ方を使い分けるポイントをご紹介します。
簡易的な冊子、製本の手軽さなら平綴じ
自分で製本をするのに最も手軽に行えるのは平綴じです。
平綴じは、偶数ページであれば冊子にできます。両面印刷した原稿を重ねてホッチキスで留めるだけなので、最も簡単に作れます。
中綴じは、平綴じ同様手軽に作ることができますが、見開き2ページの状態で綴じるため、自作する場合は、各ページを見開きに合わせて面付けする手間がかかります。
無線綴じも手作りは可能ですが、面付けに加えて、専用の糊や加工が必要なので、難易度は高くなります。
中綴じ・無線綴じ冊子の製本や、大量の数を印刷したい場合は、ネット印刷などの印刷会社に依頼するのがおすすめです。1ページずつのファイルで入稿すれば、印刷会社側で面付けしてくれますし、制作側の手間も少なく、しっかりとした冊子に仕上がるので安心です。
冊子の開きを重視したい場合は中綴じ
中綴じは綴じ部分(ノド)までしっかり開くことができるので、イラストや写真などを見開きでレイアウトしたい場合におすすめです。ページ数が少なく、平綴じとどちらにするか悩んだ場合、写真が多めであれば中綴じを選ぶと良いでしょう。
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100ページ以上のページ数なので無線綴じにしたいが、冊子の開きも重視したい…とお悩みの場合は「PUR製本」を選ぶことで解決できます。「PUR製本」は無線綴じの一種ですが、より強度のある糊で接着することで、綴じ部分まで開きやすくなっています。
ネット印刷プリントモールでは、当店で独自開発した専用糊を使用した「新PUR製本」も取り扱っております。
新PUR製本については以下の記事でも詳しく解説しています。
>> PUR製本とは?無線綴じや新PUR製本との違いについても紹介
ページ数が多い場合は無線綴じ
ページ数の多い厚めの冊子を作る場合は、無線綴じを選びましょう。
中綴じや平綴じでは針金で留める構造上分厚い冊子の製本はできませんが、糊で固める無線綴じであれば100ページ以上の本にも対応できます。
逆にページ数の少ない冊子には対応していないので、8ページなどの薄い冊子は中綴じや平綴じを選ぶと良いでしょう。
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背表紙のある冊子なら無線綴じ
構造上、背表紙ができ、背文字が入れられるのは、無線綴じ冊子のみとなります。中綴じや平綴じは背表紙ができません。
平綴じに、表紙をかぶせる方法を使えば、背表紙はできますが、通常より工程が多くなる分、コストが高くなります。
「背表紙のある本が作りたい」という場合は無線綴じを選ぶのが無難です。
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まとめ
この記事では、手軽に行える製本方法「平綴じ」についてご紹介させて頂きました。
平綴じは、紙の端(ノド)から5mm程度のところをホッチキス(針金)で1~3ヶ所程度留める製本方法です。シンプルで丈夫なのに手作りでも挑戦しやすいので、初心者にもおすすめです。
また、見開きのレイアウトをしたい場合は中綴じを、ページ数の多い冊子を作りたい場合は無線綴じなど選ぶとよいでしょう。冊子を作る際にはご紹介した製本方法をぜひ参考にしてみてくださいね。
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