復刻本ってなに?原本から印刷データを作成するスキャニングも解説!
手元に1冊しか残っていない貴重な出版物や冊子、以前に自費出版した本…。
この記事では、そんな原本を元に「復刻本」を作る方法を紹介します。
「思い入れのある本だから」「もう一度、何とかして本にしたい」「印刷データが手元に残っていない」など
お困りの方は、ぜひ思い入れのある1冊を手元に再発行するための参考にしてください。
復刻本と似ている出版用語である、
新装本、増刷、重版、改訂などの出版用語の使い分けについても解説していきます。
復刻本とは
復刻本とは、元となる本(原本)をそのまま複製して印刷データを作り、
原本と同じ本を作製することです。
原本の表紙や装丁、本文のサイズ・デザイン、本文の内容・誤字脱字なども
含めて原本の全てを忠実に再現します。
古くは木版本の時代にさかのぼります。
当時、木版本を複製する方法は、原本の刷り紙を版木に裏返しに貼り付けて、原本どおりの文字を忠実に版木に彫刻し、
この版木を版下にして用紙に刷って本を作るというものでした。
この方法は「かぶせ彫り」「覆刻(ふっこく)」と呼ばれ、
この「覆刻(ふっこく)」が復刻本の呼び名の元となっています。
現代では、スキャニングなどで紙面をデータ化し、
精度の高い印刷技術によって原本を忠実に再現できるようになっています。
大抵は、原本さえあれば、復刻本を作ることはそれほど難しくはないのです。
新装本と復刻本
原本を忠実に再現する復刻本に比べて、
新装本・新装版は従来の本のタイトルや表紙・装丁などを新しくして、
「新しい装いの本」として出版することを指します。
装丁だけではなく、本のサイズや文字の大きさ、ページ数などを時代に合わせて新しく変えたり、
本に新鮮な要素を加えたりして出版する
さまざまな形式の本もすべて新装本と呼んでいます。
新装本では、本文の内容はほぼ変わらないことが多いのですが、
原本の内容が旧字体、旧仮名づかいで書かれている場合などは、
文体を損なわない範囲で、新字体、現代仮名づかいに改めるなどして、
新しい本の形式に整えることもあります。
出版社によっては新装本のことを、
「新装復刻版」、「復刻新装版」、「完全復刻版+新装版」、「復刊」などと呼ぶこともあります。
似ているけれどどう違うの?増刷・重版・改訂を解説
そのほかの出版用語に増刷・重版・改訂というものがあります。
それぞれの用語を簡単に解説します。
増刷とは
増刷(ぞうさつ)とは、以前に出版した本と
まったく同じ内容・仕様の本を追加で出版することです。
以前の印刷データをそのまま使用することができるので低コストで本を作ることができます。
出版社によっては増刷のことを、
「増し刷り(ましずり)」「追い刷り(おいずり)」などと呼ぶこともあります。
本の「奥付」には、初版では「初版 第一刷」などと記載します。
初版をそのまま増刷する際は、「初版 第二刷」「初版 第三刷」というように
「初版」はそのままにして、刷り数だけを増やしていきます。
重版とは
重版(じゅうはん)とは、本の内容に加筆、修正、変更などを加えて本を出版することです。
以前の印刷データに手を加える必要があるため、
増刷より印刷コストが高くなることが特徴です。
また、重版した本の「奥付」には、版を変更したことがわかるように記載をします。
たとえば初版の版を変更した際は、「二版 第一刷」と版に手を加えたことがわかるようにします。
印刷データから直接印刷するオンデマンド印刷では、版の変更という工程はありませんが、
奥付には何回目の印刷なのかがわかるように記載することがおすすめです。
また、現在では重版と増刷の使い分けはそれほど重要ではなくなり、
「重版出来(しゅったい)」という用語を使って、
増刷より「重版」で本の売れ行きを読者にアピールすることが多くなっています。
改訂とは
改訂とは、本の内容や文章を改めて正しく訂正したり、
書き直したりして本を出版することです。
こちらも以前の印刷データを訂正する必要があるため、
印刷コストが高くなることが特徴です。
また改訂の場合は、本の内容の変更だけではなく、
本のタイトルや表紙、装丁にも変更を加えて、
「改訂版」であることがわかるようにすることも必要になってきます。
たとえば、改訂本の代表である辞典類の「広辞苑」の場合は、
装丁にも「第六版」などと改訂の回数がひと目でわかる記載がされています。
改訂の本の「奥付」には、重版と同じく版を変更したことがわかるように記載をします。
「広辞苑」の奥付は「第六版 第一刷」と、版の回数が記載されています。
印刷豆知識:奥付とは?
本の最終の方にある、本に関わる情報がひと目でわかるようにまとめて記載したページを、
出版用語で「奥付(おくづけ)」と呼びます。
奥付には書き方などのルールはありませんが、記載する一般的な項目があります。
以下にまとめます。
・本のタイトル
・発行年月日
・版と刷り数
・著者名
・発行者
・発行所
・印刷会社
・著作権者名(コピーライト)など
また、奥付には「定価」や個人情報などは記載しません。
復刻本を作りたい方は
復刻本を作る際の一般的な流れを紹介します。
1.原本を用意します。
2.原本を断裁して、1ページずつスキャニングしてページの画像データ(イメージデータ)を作製します。
3.画像データを元に印刷データを作製します。
4.印刷データを印刷し製本します。
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「手元にある本の復刻を考えているのだが、昔の本だから印刷用のデータがない」
お困りの方へ、ネット印刷プリントモールの「スキャニング」サービスをご紹介します。
プリントモールでは原本をお預かりして、スキャナーにてスキャニングを行い、
印刷用のデータをお作りします。 データの段階でご確認いただき、
校了となりましたら印刷・製本後、冊子の形に仕上げてお届けいたします。
仕様・納期
●原稿サイズ :A3まで
●受付原稿 :印刷物(原本)、手書き原稿(要相談)
●スキャニング:5営業日~
●印刷〜発送 :3〜6営業日
※原本の仕様により納期は異なります。
※スキャニングのみの対応はしておりません。
●お預かりする原本は、返却いたしません。
返却が必要な場合はご相談ください(原本をデータ化するにあたり、断裁が必要になるためです)。
●地色(紙色)が白の原稿で、墨色で印刷されているものを前提にしています。
地色(紙色)が色紙である場合は、ご相談ください。
●原稿が破損しているもの・補正、修正が必要な場合はご希望に添えない場合もあります。
その際には、お客様へご連絡いたします。
●文字直しなどの修正が発生する場合は、修正の度合いにより作業時間が
多くかかってしまう場合やご希望に添えない場合があります。
その際には、お客様へご連絡いたします。
●デジタル印刷方式での対応となります。
オフセット印刷には対応しておりませんのでご注意ください。
ご注文の流れ
- メールお見積りフォームから問い合わせお見積りフォームには、以下を忘れずにご記入ください。
●「スキャニング希望」と記入 ●原稿サイズ ●印刷部数手順 - 原本を郵送する問合せ後、原本の送付先を担当者よりメールにてご連絡いたします。
- 原本のチェック・確認当社にて、原本の確認を行います。
サイズやページ数に加え、破れ・汚れ・変色などについてもチェックを行います。 - お見積り送付いただいた原本を元にお見積り金額をメールにて送付いたします。
※著作権の確認書類も併せて送付いたします。確認書類への同意が必要となります。 - スキャニング金額・著作権の了解が取れ次第、スキャニングを行います。
作業後、確認用スキャニングイメージ(低解像度)を送付しますので
内容に間違いないかご確認ください。 - 印刷〜発送スキャニングデータの
印刷・製本を行い、冊子の形に仕上げてお届けいたします。
ご注文方法
「スキャニング」のご注文はお問い合わせにて承ります。お見積りフォームよりお問い合わせください。
まとめ
復刻本、増刷、重版、改訂、奥付などそれぞれの出版用語について紹介しました。
また、手元に原本しか残っておらず「なんとかこれで復刻本が作れないものだろうか…」
と思われている方には、原本から印刷データを作製するスキャニングの手法を使って、
復刻本の作製が可能であることをお伝えしました。
ぜひ市販の原本の復刻だけではなく、自費出版などの復刻にも広くご利用をお考えください。
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