オンデマンド印刷とは? オフセット印刷との違いと特徴
近年、ネット印刷などで「オンデマンド印刷」という言葉を見かけたことがある人もいるのではないでしょうか。
オンデマンド印刷には、少部数の印刷物を低価格で制作できるなどの特徴があり、この方法で印刷をする事例も増えています。
しかし、印刷をする際に最も大切なのは、自分が作りたい印刷物に適した印刷方法を選択することです。
この記事では、オンデマンド印刷の特徴や、オンデマンド印刷に向いている印刷物とメリット・デメリットなどをわかりやすく解説していきます。
オンデマンド印刷とは?
オンデマンド印刷とは、必要な時に必要な部数だけを印刷する方法です。
オフィスや家庭のプリンターのように、パソコンから直接印刷機にデジタルデータを送って印刷します。「デジタル印刷」と呼ばれる場合もあります。
納期が短く、少部数に対応可能なのが利点で、余分に刷って保管したり、使用しなかった分を破棄するような事も起こりづらくなります。
印刷会社では、ハイスペックな印刷機を使用するので、通常のプリンターと比べて、格段に美しく仕上がります。
オフセット印刷との違い
オンデマンド印刷についてより詳しく理解するために、従来の印刷方式であるオフセット印刷との違いを紹介します。
それぞれの印刷方式の特徴は、下記の通りです。
・印刷用の「版」を作り、ゴムローラーを介して印刷する。
・1,000部以上の大ロット印刷に向いている。
【オンデマンド印刷】
・「版」は作らずに、デザインデータから直接印刷する
・50〜100部などの小ロット印刷に向いている。
オフセット印刷では「平版」と呼ばれる版を作り、インクを「ブランケット」と呼ばれるゴムローラーに転写してから紙に印刷します。
写真など微妙な色合いの再現性も高く、印刷物を鮮明に仕上げることが可能ですが、版を作る分、数十部のような小ロットでは単価が高くなりがちです。
逆に、1,000部を超えるような大ロットの印刷に向いています。
一方、オンデマンド印刷では「版」を作りません。
デザインデータから直接印刷するため、50部や100部などの小ロットでも、必要な部数だけを手軽に印刷するのに向いています。
オンデマンド印刷に向いている印刷物
「版」を使用しないオンデマンド印刷では、印刷前の「製版」工程が省略されるため、従来型のオフセット印刷に比べて短い期間で印刷ができます。
この他にも、オンデマンド印刷ならではのメリットや特徴があります。
以下では、オンデマンド印刷が向いている印刷物の内容やニーズ、そして実際に想定される利用シーン例を紹介します。
少部数だけ印刷したい!
オンデマンド印刷では、ごくわずかな部数の印刷にも対応可能です。
数十部、数百部程度の小ロットの場合、オフセット印刷よりも費用を抑えやすいため、できるだけ低価格で少部数の印刷物を作りたい場合に向いています。
・数十部や数百部ほどの印刷物
・定期的に更新されるマニュアルや仕様表
短納期で印刷したい!
オンデマンド印刷では「版」を作る工程が省略されるため、オフセット印刷よりも短い時間で印刷ができます。
とにかく時間がない方、急に印刷物が必要になった方にはおすすめです。
・すぐに必要なチラシ、ポスター
・急に切れてしまった名刺やパンフレット
複数のデザインや内容で少しずつ作りたい!
印刷用データから直接印刷するオンデマンド印刷では、内容の一部分だけを差し替えて印刷すること(バリアブル印刷)が可能です。
たとえば、冊子の一部だけテキストや写真を差し替えることや、テストマーケティングのために、複数パターンのデザインやレイアウトのチラシを少しずつ作って配布したい場合などにも適しています。
・DMやハガキなどの宛名印刷
・チケットのナンバリング印刷
・表紙を複数のデザインパターンにしたノートや小冊子
・テストマーケティング用に複数パターンでのチラシ印刷
ネット印刷プリントモールのオンデマンド印刷事例
プリントモールでは、少部数の冊子印刷をオンデマンド印刷にて行っております。
販促パンフレット(商品案内、会社案内)
商品パンフレットや会社案内は、こまめな補充や改訂も頻繁に起こりうるので、少部数でも注文しやすいネット印刷がおすすめです。
テキスト
パンフレットと同様に改訂や増刷が多い教材用テキストや研修テキスト。数十部〜2,000部程度の印刷まで多くのご注文をいただいております。
カタログ
定期的に発行する商品カタログにもおすすめです。150ページ以上のページ数の多いフルカラー冊子印刷も低価格で提供しています。
プリントモールでは、中綴じ・無線綴じ冊子印刷を5部から承っております。
>>プリントモールの中綴じ・無線綴じ冊子印刷
オンデマンド印刷の意味
オンデマンド印刷とはPrint On Demand、つまり「ユーザーの要求に応じて印刷する」という意味です。印刷機のタイプによって、トナー方式とインクジェット方式に分けられます。
トナー方式
トナー方式では、樹脂や顔料などを混ぜて作られたトナーという粉末を使って印刷します。オフィスでよく使われるレーザープリンタがこのタイプです。
帯電させた筒型のドラムに、レーザーで文字や絵柄を描くと、静電気によってその部分にトナーが付着します。そのトナーを紙に移し、熱と圧力を加えて定着させるという印刷工程です。
インクを乾かす必要が無いため、スピーディーな印刷が可能。耐久性が高く、くっきり鮮やかな印刷が得意です。
インクジェット方式
インクジェット方式では、液体インクを使って印刷します。家庭用プリンターでもよく用いられる方式です。
電圧や熱を用いて液体インクを霧状に噴射し、スプレーのように紙へ直接吹き付けます。インクを乾燥させる分、スピードはトナー方式に劣りますが、解像度が高く、再現できる色域が広いという特徴があります。
グラデーションやコントラストの表現が得意で、高画質な写真や年賀状の印刷に向いています。
オンデマンド印刷のメリット・デメリット
ここからは、オンデマンド印刷のメリットとデメリットについて、それぞれ紹介します。
必要な分だけ低コストで印刷できる
オンデマンド印刷のメリットは「必要な時に、必要な分だけを、低コストで印刷できること」です。
「版」が必要なオフセット印刷の場合、小ロットになればなるほど価格は高くなりがちです。
また、一度に大量に印刷してみたものの、その後、印刷物の保管場所に困ってしまったという声もしばしば聞かれます。
その点、オンデマンド印刷であれば、必要になった時に必要な部数だけを速やかに印刷できます。
保管場所の削減にもつながり、無駄のない印刷ができることが魅力です。
大部数にはあまり向かない
一方、以下のようなケースでは、オンデマンド印刷は適さない場合があります。
・写真などの微妙な色合いも美しく、鮮明に印刷したい
・特殊な用紙を使いたい
一度に大量の印刷をする場合には、オフセット印刷のほうがコストを抑えられることが多いです。
また、オンデマンド印刷に比べると、オフセット印刷の方が写真の再現などの品質が高く、薄いグレー、鮮やかなピンク、単調なグラデーションなどまで鮮明に表現できるメリットがあります(※)。
※ただし、印刷の仕上がりは使用する機械の種類にもよります。
さらに、オンデマンド印刷では使える用紙の種類に限りがあるため、特殊な用紙を使いたい場合は、オフセット印刷をおすすめします。
このような点も踏まえて、オンデマンド印刷とオフセット印刷を選択すると良いでしょう。
まとめ
今回取り上げたオンデマンド印刷は、少ない部数を、必要な分だけ手軽に印刷できる方式です。
オンデマンド印刷では、シーンによってはコストを大きく抑えつつスピーディーに印刷できるため、多様なニーズに対応できる印刷方法として利用する方が増えています。
印刷方法の特徴を理解して、今後の印刷物作成の際にも活用してくださいね。
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