【冊子手作りガイド】知っておきたい製本のポイント
自分のオリジナルな冊子が手軽にできたらいいなと思っている人は、たくさんいるのではないでしょうか?
最近では、実際に冊子を手作りして配布したり、自分で楽しむことが流行っています。
この背景には、プロの作家やデザイナーでなくても、パソコンやプリンターがあれば、またコンビニに行けば、個人でも手軽に冊子が手作りできる環境があります。
この記事では、そんな冊子を作りたい方向けに、冊子づくりで覚えておきたいルールを紹介します。
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冊子を手作りする前に決めておきたいこと
いくつかの手順を踏めば冊子は手軽に作ることができます。そこで、ここでは冊子を手作りする前に決めておきたいことをいくつか紹介します。
まず最初に、どういう冊子を作りたいのかを決めます。次に、その冊子に適した製本方法、サイズを決めます。
製本方法を決める
手作りする際に、押さえておきたい要素の一つが「なるべく簡単に低コストで作る」という点です。比較的低コストで作れる製本方法には、並製本(簡易製本)と呼ばれる「無線綴じ」と「中綴じ」があります。
1.無線綴じ
無線綴じは背になる部分に糊(接着剤)をつけて綴じる一般的な製本方法の一つです。本文用紙を重ねたものを表紙用紙でくるみ、糊付けして接着します。100ページを超えるようなページ数の多い冊子にも対応ができるという利点があります。
仕上りは背表紙ができる仕様なので、書棚にも立てて並べやすく、丈夫で長期保存に適しています。書店や図書館などの書棚に並んでいる書籍や文庫、新書、ページの多い雑誌、カタログなどに使われています。
2.中綴じ
中綴じは、本の表紙と本文用紙を二つ折りにして、真ん中を針金やホッチキスで綴じる製本方法です。背表紙ができない仕上りとなり、ページ数が少ないものでも対応できます。軽量で持ち運びのしやすい冊子やパンフレット、配布用の冊子などによく使われています。
無線綴じに比べると、本の根本まで開きやすいのが特徴で、見開きいっぱいにデザインしたい場合にも対応しやすいです。二つ折りした紙面を重ねて綴じていくため、全体のページ数は4の倍数になります。
サイズを決める
仕上がりの冊子のサイズを決めます。
作りたい冊子によって適した仕上がりのサイズがあるので、完成した冊子をイメージしながら決めるのがおすすめです。
パンフレットや研究論文、企画書などの大きいサイズならA4サイズ(210×297mm)、同人誌ならB5サイズ(182×257 mm)、ハンドブックなどの小さいサイズならA5サイズ(148×210mm)、文芸書のような書籍サイズならB6サイズ(182×128 mm)、文庫のような手軽なサイズならA6サイズ(105×148 mm)がおすすめです。
手作りする場合、印刷用紙は仕上がりサイズ(ページサイズ)の2倍の大きさが必要になります。A4サイズが出力できる家庭用のプリンターで印刷する場合は、仕上がりはA5サイズ以下の冊子となります。
冊子の開きを決める
冊子の開きが「右開き(右綴じ)」か「左開き(左綴じ)」かを決めます。
開き方向は原稿を作るときのデザインにも関わってきますので、冊子の種類や構成にあわせて決めましょう。
文芸書などのように、文字が中心の構成の場合は「右開き」を選びます。右開きの場合の本文は縦組みになります。
カタログやパンフレットなどのように、画像やイラストが中心の構成の場合は「左開き」を選びます。左開きの場合、本文は基本的に横組みになります。これは英語版の冊子をイメージするとわかりやすいです。
手作りの手順
おおまかな原稿の構成ができたら、次は構成に合うようにページ数を決めます。ページ数が決まったらページ順に原稿を準備し、用紙を選び、印刷します。ここでは製本して冊子が完成するまでの手順を紹介します。
ページ数を決める
1、冊子のページ数を決めます
目次を決め、掲載する画像や原稿などを考えて全体のページ数を決めます。本文のおおまかなページ数がわかった上で、表紙をプラスした全体のページ数を決めます。
ページ数の計算方法を紹介します。
【表紙まわりの一般的な数え方】
表紙まわりは4ページとして数えます。
表紙から順番に、表1(表紙)、表2(表紙の裏)、表3(裏表紙の裏)、表4(裏表紙)の4ページで構成されます。
印刷がされない白紙ページの場合もページ数として数えます。
【ページ数の数え方】
ページ数は、表1を1ページ目として、表2を2ページ目、本文からは3ページ目というようにして、表紙を含めた順番で数えます。
【総ページ数の計算方法】
ページ数は本文に表紙をプラスして計算します。
表紙 + 本文 = 総ページ
例えば、表紙4ページ、本文48ページの冊子は、総ページ数は52ページです。総ページ数は「4の倍数」になるようにします。
2、ページ順を確認します
A4のコピー用紙を1枚用意し、ページの配置の確認作業を行います。この時使う紙は実際の大きさでなくて大丈夫です。無線綴じと中綴じでは、面付けに違いがありますので注意が必要です。
【無線綴じの面付け】
総ページが16ページ(表紙、裏表紙、本文を含めて)の場合、A4コピー用紙を八つ切りにします。八つ切りにした用紙の背を重ね合わせ、背をテープで留め、冊子の1ページ目から順番にページ数を書き込みます。重ねた紙をバラし、順番どおりに原稿を作っていきます。
【中綴じの面付け】
総ページが16ページ(表紙、裏表紙、本文を含めて)の場合、A4コピー用紙を四つ切りにします。四つ切にした用紙の真ん中を重ね合わせ、半分に折って冊子にします。
冊子の1ページ目から順番にページ数を書き込んでいきます。重ねた紙をバラし、順番どおりに原稿を作っていきます。
ページ順に原稿を準備
先の手順でバラしたページの順に原稿をレイアウトしてデザイン作成を行います。
原稿は、ワード、エクセル、パワーポイントやデザインソフトを使って作ります。できあがった原稿データは、デザインの崩れや文字化けなどのトラブルを防いだり、印刷会社に入稿する際に便利なように、PDFファイルを書き出しておくことがおすすめです。
原稿データ作成時にも、無線綴じと中綴じで注意する点が異なります。
【無線綴じの場合】
本文を表紙でくるんで製本するため、表紙と本文でページデザインが異なります。
●本文のデザイン作成無線綴じは、背を糊付けするので、真ん中にできる綴じ部分「ノド」は最後までしっかり開くことができません。原稿を作る場合は、綴じ部分に文字や写真が隠れてしまわないよう気をつける必要があります。
「ノド」の部分は文字や画像を入れずに空けておきます。各ページ内の原稿は、最低でもノドから10ミリほど空けてデザインすることがおすすめです。「小口」部分も同様に切れないようにデザインします。
●表紙のデザイン作成
表紙は背表紙を含めたサイズで作成します。
背表紙のサイズは、重ねた本文用紙の厚みで決まります。
表紙(表1)の幅 + 背表紙の幅 + 裏表紙(表4)の幅 = 表紙データの幅となります。
【中綴じの場合】
●本文のデザイン作成中綴じは、見開きページを重ねて製本するため、ページ順がわかりづらくなります。真ん中のホッチキスで綴じる「ノド」付近は文字や写真が隠れますが、均等ではなく外側のページの方が隠れる幅が大きくなります。
本文用紙と本文のページ数などを確認しながらノドの部分のデザインを決めていきます。小口部分も同様に切れないようにデザインします。
●表紙のデザイン作成
中綴じの場合は、背表紙がなく、本文と同じ見開きになります。
本文用紙の厚みやページ数によっては、小口部分の文字や画像などが切れてしまう可能性があります。最低でも5ミリ以上内側に文字や画像などを入れておくデザインがおすすめです。
原稿を印刷する
1.原稿に合わせて印刷しやすい用紙を選びます
本文用紙に適しているのは上質紙やマットコート紙です。
一般的な書籍などの本文用紙には上質紙が使われています。
上質紙は文字を印刷するのも文字を読むのにも適した用紙です。コピー用紙も上質紙の部類に入ります。
マットコート紙は艶を消した上質な用紙です。画像などがメインの落ち着いた雰囲気のデザインに適しています。画像などがメインの場合は艶のあるコート紙がおすすめです。
無線綴じの場合は、ページ数が多い場合、やや薄めの用紙の方がページが繰りやすくなります。
中綴じの場合は、ページ数が少ないものはやや厚みのある用紙を、ページ数が多いものはやや薄めの用紙がおすすめです。
本文と表紙の用紙を使い分ける場合は、表紙には本文用紙より厚めの用紙を使うことで強度が出ます。
2.印刷します
原稿のデータができたら両面印刷をし、順番に並べておきます。
家庭用のプリンターで印刷する時は両面印刷することを忘れないよう注意してください。
家庭用プリンターがない場合や、仕上りサイズがA5以上で家庭用プリンターでの印刷ができない場合は、コンビニなどのマルチコピー機の利用もおすすめです。
マルチコピー機では、A4サイズの冊子、面付け作業、中綴じの冊子などができるので、原稿のデータ作りも簡単になります。
色の仕上がりも鮮明なので、同人誌作りで利用している人も多いようです。
製本して冊子にする
印刷が終わったら用紙を重ねて、製本して冊子にします。次に、自宅にある用具を使ってできる簡単な製本方法を紹介します。
【無線綴じの場合】
●用意するもの
クリップ(2個程度)、糊(接着剤、木工用ボンドなど)、カッター、定規
●作り方
印刷した用紙を重ねてクリップで留め、背の部分を糊(接着剤)付けします。背表紙に糊を付けて、背表紙で背を包むように冊子を固定して表紙を作ります。
背の部分にカッターなどで横に少し切り込みを入れると糊がはがれにくくなります。
【中綴じの場合】
●用意するもの
ホッチキス、カッター、定規
●作り方
印刷した用紙を真ん中で折って重ねます。用紙が薄い場合は重ねてから真ん中で折ってもいいです。
最後に真ん中の部分を、仕上がりサイズにあわせて、2~3カ所中綴じ用ホッチキスで綴じます。
中綴じでは、ページ数(枚数)が多いと折り畳んだ内側の用紙が外にはみ出てしまうことがあります。その場合はカッターでカットして端をそろえます。
手作りで知っておきたいメリットとデメリット
冊子を手作りする場合のメリットとデメリットについて紹介します。
メリット
●思い立ったときに作れる
冊子を作りたいと思ったときが作りどきです。すぐに作ることができます。パソコンで原稿を用意し、家庭用のプリンターで印刷すれば手軽に冊子を作ることができます。
●低コストでできる
原稿やデザインは自宅のパソコン、用紙はコピー用紙、印刷も自宅の家庭用プリンター、製本も自宅のグッズを使って手軽に冊子を作ることができます。費用は、コピー用紙代とインク代のみで、低コストで冊子ができます。
●ハンドメイドの楽しさが味わえる
小学生時代の工作づくりのような楽しさが味わえます。冊子の完成イメージを描いて頭と手を動かすことでハンドメイドの過程も楽しめます。
●少ない部数の場合、印刷会社に発注するより手早くできる
少部数の場合は、印刷会社に発注するより手早くできて、なおかつ低コストに仕上がります。また、印刷会社に発注する場合は納品されるまでの日数もかかりますが、手作りならその心配はありません。
デメリット
●大部数の場合は対応できない
大部数の場合やサイズが大きい冊子を作りたい場合は、印刷会社に依頼する方が安心です。労力も少なく、安定した品質の冊子を手に入れられます。
●パソコンや家庭用プリンターがないと作業しにくい
冊子の原稿作りやデザインは、パソコンでの作業がおすすめです。イメージの確認などもプリンターがあれば手早くできます。
●製本のルールや面付けが難しい
製本のルールや面付け作業は最初はうまくできない可能性があります。何度か確認しながら手作りしてみることがおすすめです。
まとめ
この記事では、冊子を手作りする方法について紹介しました。
冊子を作りたいと思ったら、まず最初にどんな冊子を作りたいのかをイメージし、イメージに合わせて原稿をまとめましょう。どんなデザインにするのか、仕上がりサイズや用紙、冊子の製本や綴じ方を考えたりと……イメージが膨らんできたと思います。
原稿を作るだけでも大変な場合は、印刷・製本は印刷会社にお願いするのが得策です。あなただけのオリジナルな冊子作りにぜひ挑戦してみてくださいね。
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