冊子の製本と開き方の違いについて解説!
一口に冊子と言っても、開く向きや開き具合は様々です。この記事では、冊子の開き方の違いと、データ作成時の注意点について解説します。
自分が作りたい冊子にはどんな開き方が適しているか、イメージしながらお読みくださいね。
右開き・左開きはどのようにして決まるのか
「右開き」「左開き」は、冊子を閉じた状態で綴じられている側を指し「右綴じ」「左綴じ」とも呼ばれます。
間違えやすい方が多いですが、左から右にページをめくっていくのが「右開き」で、その逆に、左にめくっていくのが「左開き」です。
開き方は、紙面の文字組みの方向で決まります。
一般的に、文字を読む方向が縦書きなら右開き、横書きなら左開きとなります。
例えば、縦書きの文章は、右から左へと読んでいきます。
右開きであれば、表紙の後は、右→左→右の順にページが並ぶため、視線の動きに無駄がなく、右上から読む縦書きの文章に合った構造になっています。
一方、横書きの文章は、左から右に読んでいくため、縦書きとは逆に、左→右→左とページが進む左開きがスムーズに読み進められます。
右開きは、縦書きで書かれる新聞や小説、国語の教科書などに用いられます。写真や図表がメインの冊子でも、主要な文章が縦書きなら右開きとなります。
左開きは、数学や英語などの横書きの教科書、取扱説明書、楽譜などで用いられます。
上開きについて
右開き・左開きの他には、ページを上にめくっていく上開き(上綴じ)もあります。表紙の上の辺が綴じられていて、下から上にページをめくっていく構造の冊子です。
上開きは、カレンダーやメモ帳、伝票などでよく使われています。
>> 上綴じ冊子を注文する際の注意点
冊子の開き具合の違い
冊子の製本方法によって、ページの開きやすさは異なります。代表的な2つの綴じ方の開き具合を解説します。
中綴じ冊子の開き
ホッチキスで綴じられる程度の、ページ数が少ない冊子に向いています。他の製本方法に比べ、比較的低コスト・短納期で印刷しやすいのも特徴です。
中綴じ冊子では、ノドと呼ばれる綴じ部分の根元まで、しっかり開ききることができます。特に、真ん中のページは左右が一続きで、ほぼ平らに開きます。写真やイラストを見開きで掲載したい場合におすすめです。
無線綴じ冊子の開き
無線綴じ冊子は、本文を重ねて背の部分に糊を付け、表紙でくるんで綴じています。
本文の厚みに応じて背表紙ができ、耐久性の高い冊子に仕上がります。ページ数の多い冊子でも、しっかり綴じることが可能です。
ただし、中綴じほど冊子の開きは良くありません。ページの糊で各ページのノド部分を接着する構造上、ノドの根本まで開くことはできず、見開きの中央付近は見えにくくなります。大事な文字やイラストは、ページを開いた際に隠れるのを防ぐため、ノドから10mm以上離して配置するようにしましょう。
無線綴じ冊子の開きが良くなるPUR製本とは?
無線綴じ冊子の1種に、より強度を高めて開きやすくした「PUR製本」があります。
PUR製本では、一般的に使用される無線綴じ用の糊よりも、熱に強く強度が高いPUR系の糊を使用します。PURとは反応性ポリウレタン(Poly Urethane Reactive)の頭文字です。
通常の無線綴じに比べるとややコストはかかりますが、無線綴じ冊子の欠点を解消できるのが特徴です。
・見開きがやや開きづらい。見開き中央にある文字や絵柄は隠れてしまう場合がある。
・ページ数が多いほど、開きが悪くなる。
・冊子を伏せて置くと浮いてしまうため、開いたままの作業やコピー取りはしづらい。
・見開きが根元まで開きやすい。ページをまたぐ文字や絵柄も中央までしっかりと見える。
・ページ数が増えても、開きが良い。
・しっかりと開けるため、開いたままの作業やコピー取りも容易。
無線綴じ冊子・ページ数の多い冊子で、冊子の開きを重視したい場合は検討するとよいでしょう。
>> PUR製本とは?無線綴じや新PUR製本との違いについても紹介
データ作成時の注意点
冊子を開く方向(綴じ方向)によって、ページ配置なども変わってきます。
ここでは、表紙まわりと本文のノンブルについて解説します。
表紙まわりのページ配置に注意
表紙まわりのページ配置は、冊子を開く方向(綴じ方向)によって変わります。
表1から表4までの4ページ分を間違えないように配置しましょう。表紙・裏表紙の裏面にあたる表2、表3ページも印刷ページに含みますので忘れずに。
上開き(上綴じ)の場合、表紙の綴じ側は天(上)と決まっています。
裏表紙の向きは2パターンあり、綴じ側を天とするか地とするかを選択する必要があります。印刷会社に依頼する場合は、裏表紙の向きも忘れずに伝えるようにしましょう。
本文データはノンブルの配置に注意
ノンブルとは、ページの下部中央や角に記載されているページ番号のことです。
フランス語のnombre(英語のnumberにあたる言葉)が由来ともいわれています。ノンブルは、読者の利便性向上だけでなく、冊子製作者が落丁や乱丁を回避する一助となっています。
ページの左右の角にノンブルを配置する場合、表紙まわりと同様に、冊子を開く方向(綴じ方向)を考慮しなければなりません。
右開きなら、奇数ページは左側、偶数ページは右側にノンブルを振ります。左開きはその逆になります。
ページの端にノンブルがあると、製本時に切れてしまう危険性があります。小口(冊子を開く側)と天地(冊子の上下)には3mm程の余白を作っておくと安心です。
まとめ
冊子の開き方は、縦書きなら右開き、横書きなら左開きと覚えておきましょう。見開きで写真やイラストをしっかり見せたい場合は、開きの良い中綴じやPUR製本がおすすめです。
また、冊子の開く方向によって、ページやノンブルの配置が異なります。誤った配置のデータを入稿してトラブルにならないよう、十分注意してデータ作成を行いましょう。