イラスト・写真が多い同人誌・冊子をフルカラー印刷する際のポイント
「同人誌をフルカラーで作ってみたい」
「イラスト集をフルカラー印刷したらパソコンとは違う色味で印刷されてしまった…」
このような悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、同人誌やイラスト集、記念誌など、写真やイラストの多い冊子をお作りの方に向けて、フルカラー印刷・製本のポイントを紹介します。
イラスト・写真が多いフルカラー印刷の冊子例
フルカラー印刷されることの多い冊子の例をいくつかご紹介します。
同人誌・絵本
同人誌は、漫画やイラスト集、小説などジャンルは多岐にわたります。絵本は、イラストなどを中心に物語を進行することが一般的です。いずれもイラスト、挿絵、装飾など、フルカラー印刷をすることにより世界観の彩りを表現できます。
イラスト集・写真集・カタログ
写真集・イラスト集・カタログなどはをフルカラー印刷することで、商品の良さやイラストの演出を正確に伝えることができます。
商品であれば色味をみて比較検討をしたり、写真集やイラスト集では作品の世界観や色そのものを楽しめます。
活動記録・記念誌
活動記録や記念誌は、フルカラーで表現することで、思い出に残るワンシーンを鮮やかな色彩で手元に残すことができます。
学校や会社の歴史など、世代を超えて読み返す際にも美しく振り返ることができます。
教材テキスト
教材テキストは、大事なポイントや図解に色がついているだけで、興味を惹くことができ、内容も伝わりやすくなります。
教科書、楽譜、研修資料などでは、勉強する内容やユーザー層に合わせた色分けも行いやすくなります。
フルカラーの印刷原稿を作る際のポイント
画面で見えているデータを印刷した際に見た目と違う感じの色味で出力された経験はありませんか?
画面では綺麗に見えても、紙に印刷すると色味がくすんでしまうなんてことも…。
これは、画面でのデジタルな色再現とカラー印刷の色再現に違いがあり、カラー印刷では全てを再現できないためです。
データを作成する前に印刷用のカラー設定について押さえておきましょう。
RGBとCMYK
色の表現方法には、「RGB」と「CMYK」の2種類があります。
RGBとは、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の光の三原色のことです。
テレビやパソコンなど、液晶画面では、このRGB3色を組み合わせて様々なカラーが表現されます。
CMYKとはC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の色の三原色に、K(ブラック)インクを加えた4色を指します。
印刷では、主にこのCMYK4色のインクを重ねてカラーを再現しています。
4色のインクは重ねるほど色が濃くなるため、モニターで見えているような明るく彩度が高い色は沈んだ感じに色再現されます。
特色インクについて
「特色インク(DIC)」とは、CMYKの4色では再現できない特殊な色を表現するために調合されたインクです。
「スポットカラー」とも呼ばれ、金・銀・パールなどのメタリックな色や、パステルカラー、蛍光色、色鮮やかなオレンジなどの表現に使われます。
ただし、次項で解説するオンデマンド印刷では使用できません。特色で印刷したい場合は、オフセット印刷を選ぶ必要があります。
解像度について
イラストや図、写真などの画像を綺麗に印刷するには、色設定だけではなく解像度も重要です。
フルカラー印刷の画像は解像度350dpi程度が望ましいです。350dpi以下の場合は、解像度が足りず、印刷しても画像が粗くぼやけて再現されます。
フルカラー印刷で押さえるとよいポイント
フルカラー冊子をより綺麗に印刷するために、印刷方式や用紙の知識も身につけておきましょう。
オフセット印刷とオンデマンド印刷
主要な印刷方式は以下の2つです。
オフセット印刷
印刷用の版を使って紙に転写する印刷方法です。
【デメリット】少部数では価格が高くつく、納期が長い。
オンデマンド印刷
高速デジタル印刷機を使ってデジタルデータから直接印刷する印刷方法です。
【デメリット】オフセット印刷に比べると鮮明さはやや劣る。
フルカラー印刷に向いている用紙
印刷する用紙によって仕上がりのイメージも違ってきます。フルカラー印刷に向いている用紙をいくつかご紹介します。
表紙・本文ともに、光沢がある用紙が基本
カード紙、コート紙、マットコート紙などのコート系の用紙がおすすめです。
イラストや写真がメインの冊子であれば、表紙・本文用紙の両方とも光沢(コーティング)がある用紙が適しています。発色が良く、色の再現がより鮮やかになります。
写真と文章が混在する場合は反射が少ないマットコート紙
本文に写真と文章が混在する冊子の場合は、マットコート紙がおすすめです。他のコート系の用紙に比べて、紙面の反射が抑えられているため、文章が読みやすいのが特徴です。
写真もきれいに印刷再現できるので、落ち着いた上質な雰囲気の紙面に仕上がります。
表紙の高級感が増すPP加工
表紙PP加工とは、表紙にフィルムを貼ることで、光沢感を出したり耐久性を高める加工です。
イラストや全体の色味がより映え、高級感のある冊子に仕上がります。
ポップな印象になるつやありタイプの「グロスPP加工」、落ち着いた雰囲気になるつやなしタイプの「マットPP加工」の2種類があります。
フルカラー印刷のおすすめ仕様例
鮮やかに見せたい場合はコート紙・グロスPP加工
【印刷仕様の一例】
・綴じ方:無線綴じ
・サイズ:A4
・表紙本文:フルカラー
・表紙用紙:カード紙 180kg
・本文用紙:コート紙 90kg
・表紙PP加工:グロスPP
落ち着いた感じにする場合はマット系で
【印刷仕様の一例】
・綴じ方:無線綴じ
・サイズ:B5
・表紙本文:フルカラー
・表紙用紙:マットコート紙 135kg
・本文用紙:マットコート紙 70kg
・表紙PP加工:マットPP
まとめ
写真やイラストが多い同人誌や絵本、記念誌の印刷をお考えの方におすすめのフルカラー印刷を紹介しました。作品の内容や雰囲気に合わせて、紙の種類や、表紙のPP加工などにもこだわるとより特別感のある冊子に仕上がります。
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