色上質紙ってどんな紙?画用紙との違いや用途もチェック!
色上質紙とは、化学パルプ100%の「上質紙」に色をつけた用紙で、さまざまな印刷物に使用されるポピュラーな用紙の一つです。
この記事では、知っておくと役立つ色上質紙の特徴や種類をはじめ、おすすめの印刷物や注意点も紹介します。
なお、上質紙について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
>> 上質紙ってどんな用紙?コピー用紙や他の用紙との違いをチェック!
色上質紙にはどんな特徴がある?
色上質紙とは、化学パルプ含有率が100%で、表面加工をしていない「上質紙に色をつけた用紙」です。
上質紙と同様に品質が安定しており、用途に応じて種類や厚さを選ぶことができます。
色上質紙の特徴を簡単にまとめます。
・比較的安価でコストを抑えやすい
・色展開が豊富
・厚さは「薄口」から「特厚口」まである
・筆記性に優れている
・オフセット印刷、レーザープリンター、インクジェット、コピー機などに幅広く対応
このように、色上質紙には数々のメリットがあり、非常に使い勝手がよい用紙の一つです。
パンフレットなど冊子の表紙をはじめ、1枚もののチラシやチケット、あるいはアンケート用紙や注文用紙のような筆記を前提とした印刷物にまで幅広く使われています。
色上質紙の種類
色上質紙には、さまざまな「色(カラー)」が用意されています。
選べる色のバリエーションは印刷会社によって多少異なりますが、オレンジ系やピンク系、ブルー系、グリーン系、イエロー系など多様な選択肢があります。
特に、柔らかくて淡い上品な色味やパステルカラーが豊富です。
・桃色:鮮やか過ぎず、パステルピンクのような色合いです。
・クリーム色:黄色が少しくすんだような色味で、淡く柔らかな印象です。
・うぐいす色:やや灰色がかかった黄緑色で、やや茶色っぽさも感じられます。
上記のほか、「さくら色」「若草色」「もえぎ色」など、美しい日本の風景を思わせるような色が多いことも特徴です。
なお、色上質紙の「白色」は、通常の(白い)上質紙よりも白色度が高くなっています。
色上質紙の厚さ
色上質紙は、用紙の「厚さ」にもバリエーションがあります。
ペラペラとした薄いものからしっかりとした厚みのものまで、用途によって使い分けることが可能です。
ここでは、色上質紙の厚さの種類と、厚さのイメージを紹介します。
※色上質紙のおすすめ用途については、後ほど詳しく取り上げます。
厚さのイメージは、一般的なコピー用紙と同じくらいです。
通常の上質紙では、四六判55kg程度となります。
<中厚口>
厚さのイメージは、千円札と同じくらいです。
通常の上質紙では、四六判70kg程度となります。
<厚口>
厚さのイメージは、週刊誌の表紙と同じくらいです。
通常の上質紙では、四六判90kg程度となります。
<特厚口>
厚口よりも、さらにしっかりとした厚みがあります。
通常の上質紙では、四六判110kg程度となります。
色画用紙との違い
色のついた紙といえば、小学校などで使う「色画用紙」を思い浮かべる方もいるでしょう。
色画用紙は絵画用紙の一つで、絵画や水彩画の他に、工作などにも利用されています。
色画用紙も色上質紙と同じようにパルプから作られる紙ですが、それぞれを比較すると、下記のような用途や質感の違いがあります。
・色画用紙…絵画や工作に用いられ、凹凸のあるザラッとした質感
また、色上質紙は薄口から特厚口までさまざまな厚みの紙を選べるのに対し、色画用紙は、厚口や特厚口が中心で厚みのバリエーションは少なめです。
おすすめの用途
ここでは、色上質紙におすすめの用途を紹介します。
どのような印刷物に色上質紙を使えばよいかわからない方は、ぜひ参考にしてください。
<冊子の表紙>
パンフレットやプログラムなど白紙に本文を印刷をする冊子の表紙には、厚口もしくは特厚口の色上質紙を使うことで印象が大きく変わります。
<学校の文集>
記念として大切に残しておきたい学校の文集には、クラスや学年のテーマカラーなどの色上質紙を使うのもおすすめです。
<書籍の遊び紙>
「遊び紙」とは、書籍の見返しと本文の間に挟む何も書いていない用紙のことです。
通常は白紙を用いますが、ここに薄口の色上質紙を使うことで高級感を演出できます。
<チラシ>
文字やイラスト中心のシンプルなチラシでも、色上質紙を使えば上品かつ柔らかい印象を与えられます。
<名刺>
白紙がスタンダードの名刺に色上質紙を使うことで、個性的でおしゃれな名刺に仕上がります。
<チケット>
モノクロ印刷で内容がシンプルになりがちなチケットは、選ぶ用紙の色で雰囲気を変えたり、視覚に訴えかけたりすることができます。
印刷する際の注意点
色上質紙は使いやすく魅力的な用紙ですが、印刷の際に注意しておきたいポイントがあります。
注意点を簡単にまとめると、「印刷用のインクは、印刷に使う用紙の色の影響を受ける」ということです。
この内容について、もう少しわかりやすく解説します。
濃い色の用紙の場合は見えなくなる恐れあり!
色上質紙の使用にあたって気を付けたいことの一つは、濃い色の用紙に印刷をするケースです。
例えば、濃い青や赤などの用紙に印刷する場合、用紙の色合いが透ける印刷用インクの特性上、どのような色を印刷しても色が用紙に馴染むような形となって可読性が損なわれることがあります。
色上質紙は淡い色のバリエーションが多いため、黒や青など濃い色を使う印刷の場合は心配いりませんが、念のためお気をつけください。
用紙の色によって発色が違う
注意点のもう一つは、印刷に使用する用紙の色によって、元々の文字や写真などの印象が変わることです。
基本的な印刷用インクのCMYKの中では、特に「Y(イエロー)」が用紙の影響を受けやすいです。
例えば、黄色を寒色系の用紙に印刷すると緑色っぽく、暖色系の用紙に印刷するとオレンジ色っぽくなります。
また、濃い色の用紙を使う場合には、黄色の文字やイラストは見えづらくなってしまいます。
こうしたことから、色上質紙で黄色を活かした印刷を行う時には、「クリーム色」や「レモン色」の用紙を選ぶことをおすすめします。
「白色の上質紙にカラー印刷」でも代用できる
色上質紙の印刷への影響が気になる場合は、ページ背景に色を敷いたデザインを通常(白色)の上質紙に印刷する方法もおすすめです。
●紙色に文字やイラストが影響されない
●色上質紙を使う場合に比べ、コストを抑えることができる
まとめ
今回は、ポピュラーな印刷用紙の一つである色上質紙について紹介しました。
色上質紙には通常の上質紙や、その他の印刷用紙とは異なる特徴や魅力があり、冊子の表紙やチラシ、チケットなどにもよく使われています。
目的に適した用紙を選択することで、より美しく、使い勝手のよい印刷物に仕上げることが可能です。
「白い紙だとどうも物足りない感じがする…」という場合には、色上質紙を効果的に使用するとガラッと印象を変えることもできます。
今後の印刷物作りの際には、ぜひ色上質紙も検討材料に入れてみてくださいね。