同人誌におすすめの用紙・印刷仕様とは?
インターネットやSNSの普及を追い風に、同人誌の市場も年々大きくなっています。同人誌は漫画と比べ自由な表現が可能ですが、実際に作って印刷をするとなると少々敷居が高いと感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では同人誌に使う用紙を中心に、印刷する際のポイントなどを説明します。同人誌の制作・印刷を考えている方はぜひチェックしてみてくださいね。
同人誌とは
同人誌とは「同人(同好の士)が共同で執筆、編集、発行する同人雑誌」の略語です。
起源は明治時代で、小説家が中心となり文芸作品などを自費で出版したものが日本で初めての同人誌といわれています。
漫画との違いは出版形態にあります。
漫画は出版社を通して発刊する「商業誌」という分類になります。発刊した漫画の権利は出版社にありますが、作者は発刊の経費等、出版に関する費用を負担しません。
一方、同人誌の多くは同人や個人が自費出版しており、出版社を通さない形です。発刊の費用は原則同人や個人が負担しますが、同人誌は出版社を通さないことで紙面に自由な表現をすることができます。
同人誌におすすめの用紙
同人誌を印刷するうえで、用紙の選択は出来上がりを左右する重要な事柄です。どの用紙を選ぶかで出来上がりの色具合やイメージが大きく異なります。
印刷会社では用紙サンプルを用意していることも多いので、用紙サンプルを取り寄せて、自分の作品にあった用紙を選択するとよいでしょう。それでは、具体的に同人誌におすすめの用紙を紹介していきます。
(※記事内で、用紙の厚みは斤量で表しています。)
【表紙】コート紙
同人誌の表紙にまずおすすめするのはコート紙です。
コート紙は紙の表面をコーティングすることによって美感や平滑さを高めた紙です。写真や色の再現性に優れているという特徴を持っている為、写真やフルカラーイラストを用いた同人誌の表紙に用いるとよいでしょう。
表紙で使用する場合にはコート紙135kgがおすすめです。週刊誌の表紙程度の厚みとなります。
【表紙・本文】マットコート紙
同人誌の表紙、本文両方におすすめなのがマットコート紙です。
マットコート紙は、コート紙同様に写真や色をきれいに再現できるのに加えて、光沢が抑えられているため光の反射が少ないのが特徴です。落ち着いたシックな仕上がりの表紙にしたいときや、フルカラーの本文を想定した同人誌にもおすすめです。
表紙で使用する場合にはマットコート紙135kg(切符程度の厚み)、本文で使用する場合には、マットコート紙110kg(週刊誌の表紙程度の厚み)がおすすめです。
【本文】上質紙
同人誌の本文におすすめなのが上質紙です。
上質紙は表裏ともにコーティングがされていない用紙で、コート紙やマットコート紙に比べると、発色は鮮やかではなく素朴な仕上がりになります。また、文字が見やすいこと、筆記性にも優れていることから、コピー用紙や小説の紙としてもよく使用されており、本文がモノクロ原稿の場合には特におすすめです。
本文で使用する場合には上質紙70kgがおすすめです。千円札程度の厚みとなります。
より薄い上質紙55kgなども選べますが、インクが多いと裏抜けしやすいため、注意が必要です。特に、インクを多く使うカラー写真やベタ塗りのページは裏抜けしやすいです。
基本的には、一回り厚みのある上質紙70kgを選んでおくと裏抜けもしづらく安心です。
【表紙】カード紙・アートポスト
同人誌の表紙にはカード紙やアートポストもおすすめです。
カード紙の表面はコート紙のような光沢感があり、色の再現に優れています。その為、写真やカラーイラストを使った表紙を美しく仕上げることができます。アートポストも、カード紙もよく似た特徴を持つ用紙です。
表紙で使用する場合には、カード紙180kgがおすすめです。郵便はがき程度の厚みとなり、しっかりとした仕上がりになります。
ワンランク上の同人誌に!おすすめオプション
続けて、通常よりも少し豪華な同人誌に仕上がるおすすめのオプションをご紹介します。
表紙カバー・帯
本格的な表紙に演出できるのが、表紙カバーと帯です。
表紙カバーは、オリジナルデザインで作成できます。用紙はコート紙、マットコート紙の2種類があり、表紙カバーにはPP加工を施して注文するのが一般的です。PP加工を施すことで、より光沢や耐久性が上がり、冊子をきれいなまま保つことができます。
また、小説を作成する方は帯もおすすめです。帯を付けることで、市販の小説のような雰囲気を出すことができます。
表紙PP加工
表紙PP加工とは紙の表面にPPフィルムを貼ることで、表面をコーティングして保護できる加工のことです。PP加工を施すことにより、見栄えが良くなり光沢感や高級感が生まれるとともに、摩擦や傷から表面を保護できます。また、耐久性・耐湿性も向上します。
PP加工は使用するフィルムによってグロスPPとマットPPの2種類から選ぶことができます。
【グロスPP】
- 表面につやのあるフィルムを使用したタイプ。
- 加工後の表紙は光沢があり、鮮やかな発色の仕上りになります。表紙に彩度の高い色や写真イラストを使用している場合に、より鮮やかに見せることができます。
- テキスト冊子や製品カタログ・記念誌などにおすすめです。
【マットPP】
- 表面のつやを抑えたフィルムを使用したタイプです。
- 加工後の表紙は光の反射が抑えられ、上品で落ち着いた仕上りになります。
- 濃度は高く、彩度がやや低く見えます。
- 表紙にシックな雰囲気や高級感を演出したい場合に最適で、記念誌や研究資料集、作品集などにおすすめです。
エッジプリント
エッジプリントとは冊子の小口や天地にデザインを印刷する装飾加工の事です。
辞書などに使用されることが多いですが、同人誌に盛り込むことで他とは一味違った仕上がりの冊子にすることができます。
まとめ
この記事では、同人誌に合った用紙やオプションを紹介しました。同人誌は一般的な冊子よりもオリジナリティや自由さを表現したいことが多いと思います。
お作りの同人誌に合わせて、用紙やオプションを工夫し、オリジナルな1冊に仕上げましょう。同人誌印刷はネット印刷プリントモールにおまかせください。