PUR製本とは?無線綴じや新PUR製本との違いについても紹介
PUR製本は、冊子印刷において使われる製本方法の一つです。通常の無線綴じよりページの開きやすさや、耐久性・耐熱性にも優れており、とても魅力的な製本方法です。
今回は、PUR製本のメリットや通常の無線綴じとの違いをメインに紹介していきます。また、一般の人には聞きなれない「新PUR製本」についてもご案内致します。
>>「新PUR製本」についてすぐに知りたい方はこちら
PUR製本の特徴をしっかり理解し、冊子作成する際の選択肢の一つにしていきましょう。
PUR製本とは
PUR製本は、無線綴じに使用する糊(ホットメルト)に、強度・耐熱性に優れたPUR糊を使用する製本方法です。
通常の無線綴じより、より丈夫で開きがよい冊子に仕上がります。
通常の無線綴じではEVA系の接着剤を使用しますが、PUR製本では反応性ポリウレタン(Poly Urethane Reactive)系の接着剤を使用します。PURとは「反応性ポリウレタン系」の頭文字を取った呼び名です。
PUR糊は、強度が強く、接着性・柔軟性が高いのが特徴です。また、糊自体が温度変化に強いため、長期保管する冊子にも向いています。
無線綴じ冊子との違い
通常の無線綴じ冊子とPUR製本冊子では以下の違いがあります。
・冊子をノド元まで開けず、ノド周辺の文字や絵柄は隠れてしまう。
・ページ数が多い冊子ほどノド部分が開きづらく読みづらくなる。
・コピーが取りにくい。
・冊子の開きがよいため、ノド周辺の文字や絵柄までしっかり見やすい。
・ページ数が多い冊子でも開きやすく、読みやすい。
・コピーが取りやすい。
無線綴じ冊子についてより詳しく知りたい人はこちら。
>> 無線綴じとは?中綴じとの違いやメリット・デメリットを紹介
PUR製本のメリット
PUR製本のメリットは大きく分けて以下の4つです。
それぞれ簡単に説明していきます。
・耐久性が高い
使用する糊(ホットメルト)の粘着強度が高いため、ページ数が多くても丈夫な冊子を製本できます。
・ページの開きがよく、読みやすい
柔軟性も高いため開きがよく、ページ数が多くても読みやすい仕上がりになります。
・環境に優しい
PUR製本に使われる糊は、一度固まると古紙リサイクルの溶解工程においても溶けないため、除去が容易です。日本印刷産業連合会では、『環境配慮型製本のり』に指定されています。
・熱に強い
100度近い温度環境にあっても、糊が溶ける心配はありません。
PUR製本のデメリット
PUR製本の主なデメリットは以下の2つです。
・製本作業が難しい。
・コストがかかる。
従来の無線綴じに比べ、製本作業が難しくなる分、コストもかかってしまうのが現状です。
PUR製本をお考えの場合は、予算や納期について事前に確認しておくとよいでしょう。
PUR製本はこんなときに便利
これまで紹介したPUR製本のメリットを踏まえて、便利な点とおすすめの冊子についてご案内します。
①本を見ながら両手が使える
本を開いたままにしておけるので、ハンズフリーで本が読めます。本を読みながら、他の作業をする場合に、作業効率が格段に上がります。レシピ本などに、特におすすめです。
②快適に読書できる
テーブルなどに置きながら読書を楽しめます。お子様と一緒に絵本を読むときにもおすすめです。
③見開きページでもきれいに表現できる
開きがよいため、ノドの部分までしっかり見れます。見開きのデザインや絵柄が多くある冊子におすすめです。
④書き込みがしやすい
紙面が完全に開けるため、書き込みがしやすいです。片方の手で冊子を押さえなくても書き込みやすいので、ノートや教材テキストなどにも向いています。
おすすめの冊子:ノート、テキスト、手帳など。
⑤コピーが取りやすい
通常の無線綴じだと開きがよくないため、ノドの部分がうまくコピーできませんでした。
しかしPUR製本では、ノドの部分までしっかり開けるのでコピー取りも簡単です。
⑥繰り返しの開閉にも強い
通常の無線綴じより糊の強度があるため、開閉時の耐久性も向上。長期間使用される冊子に向いています。
表紙にPP加工を行うとさらにキレイで丈夫に
PUR製本が丈夫とはいえ、新品と同じ状態をずっと維持するのは困難です。冊子を何百回、何千回と開閉を繰り返していると、表紙や背の部分にある写真などはトナーが剥がれることも考えられます。そのような場合は、「PP加工」を施すと、トナーも剥がれず、きれいな状態で保管が可能です。
⑦温度変化にも強い
PUR製本は温度変化にも強く、とても丈夫で長持ちします。
長期保存される本や温度変化が激しい場所で保管する冊子におすすめします。
PUR製本の耐熱性について
PUR製本に使われる接着剤は、通常の無線とじに使われるホットメルト接着剤の倍以上の高温にも耐性があります。
現在の印刷製本業界でもっともポピュラーな製本のホットメルト接着剤において言えば、耐寒温度がマイナス0度、耐熱温度が40度前後と言われています。
一方、PUR接着剤の耐寒温度がマイナス20度、耐熱温度が120度前後となります。
(〜中略〜)
ホットメルトの耐熱限界温度が40度前後という特性は実は、本を傷める最大の原因です。
耐熱限界温度に達するとどうなるのかといえば、単純に本の背に使用しているホットメルト接着剤が溶けます。
新着情報-PUR製本のススメ④【外気温に左右されない】編(東海電子印刷株式会社)
⑧リサイクル性が高い
PUR製本された冊子は紙と糊を完全に分離できます。そのリサイクル適性の高さから、日本印刷産業連合会の古紙リサイクル適正ランクリストで、最高のAランクに分類されています。
さらに丈夫で開きやすい「新PUR製本」
ネット印刷プリントモールでは、一般的なPUR製本よりもさらに丈夫で開きやすい「新PUR製本」を取り扱っています。
新PUR製本は、冊子の開きやすさを重視して開発した専用糊を使用したプリントモール独自の製品です。
従来のPUR製本の良さはそのままに、専用糊で接着面積を少なくできることで、より開きが良い冊子を実現します。
低価格で提供していますので、まずはお問い合わせフォームよりお見積りください。
まとめ
いかがだったでしょうか。無線綴じでは、冊子が完全に開ききらなかった不便な点が、PUR製本を使えば改善され、耐久性や耐熱性も向上します。
従来の冊子に満足できなかった方は、一度PUR製本を試してみるのもおすすめです。
作成する冊子の用途にあわせて、製本方法も見直してみてはいかがでしょうか。